お祝い事に使う祝儀袋ですが、最近はカジュアルでかわいいデザインの祝儀袋がたくさん出回っています。
色も豊富なだけではなく、柄もかわいらしくて、まるでお年玉袋を大きくしたような祝儀袋もあります。
とてもかわいいカジュアルな祝儀袋ですが、いざ使おうと思ったときに、書き方などに困ったことはありませんか?
また、正式な祝儀袋の書き方と、カジュアルな祝儀袋の書き方の違いなどはあるのでしょうか。
どのような書き方なら、相手に渡したときに失礼にあたらないのでしょうか。
お祝いを頂いたときには気にしなかった書き方も、いざ自分が渡す立場になると悩んでしまうものです。
せっかくのお祝い事で失敗しないように、ここではカジュアルなものから基本的なことまで、祝儀袋の書き方についてお伝えしていきます。
カジュアルな祝儀袋で困る書き方とは?
カジュアルな祝儀袋の場合、表に柄や飾りがたくさんついていて、かわいいものが多いですよね。
あまりにも凝ったデザインなので、名前を書くときにちょっとためらってしまいます。
それに、カジュアルな祝儀袋の場合、親しい間柄で使う場合が多いので「名前を書かなくても大丈夫なのかな…」などと思ってしまったりもします。
ですが、カジュアルな祝儀袋でも、基本的な書き方は正式な祝儀袋とほとんど同じです。
それに、お祝いをいただく側からすると、後で誰から貰ったものかわからなくなってしまうのはとても困ります。
たとえ親しい間柄だとしても、しっかりとフルネームで書いてあげましょう。
表に書く名前の書き方ですが、書く位置は「お祝い」などと書かれている名目の真下に書くようにしましょう。
祝儀袋の半分から下に書くと、バランスが良いです。
字の大きさは、名目と同じくらいの大きさで書くと良いでしょう。
もっとラフな祝儀袋ですと、表にある柄や飾りで名前を書くスペースがまったくないものもあります。
そうした場合は、中袋や裏面の左下に送り主の名前を書くようにしましょう。
ほかに書き方で気を付けるところは、名前を書くときには適した筆記用具で、楷書(かいしょ)でていねいに書くというところです。
カジュアルな祝儀袋だからといって、ボールペンで書くのはNGです。
ボールペンや万年筆は、文字の線が細いので適していない上、マナー違反になってしまいます。
正式には毛筆で書くというのがマナーになっていますので、書ける人は毛筆で書くことをおすすめします。
毛筆は難しいという人は、筆ペンや太目のサインペンなどで書き、ボールペンは使わないようにしましょう。
次に、実際にお札を入れるときですが、お札には向きがあるので注意して入れるようにしましょう。
お札には表と裏があって、肖像画のある方が表側になります。
祝儀袋にお札を入れるときは、お札の肖像画が袋の上部に来るように入れます。
間違えて裏側になってしまわないように、十分気をつけて入れるようにしましょう。
カジュアルな祝儀袋ですと、購入した時に内袋がついていない場合もあります。
そうした場合には、家にあるコピー用紙や半紙などを利用して、内袋代わりに包んでから入れるようにしましょう。
水引きの種類と意味
カジュアルな祝儀袋はラフなデザインのものが多いですが、水引きがついているものもあります。
どちらが良いか迷ったときには、水引きがついているものを選んでおけば間違いはないでしょう。
ここで水引きの種類と意味をご紹介いたします。
水引きの代表的なものに「結び切り」「あわじ結び」「蝶結び」というものがあります。
「結び切り」は、一度結んだらほどけないということから、一度だけで二度あって欲しくないお祝い事に使われます。
結婚祝いなどがそれにあたります。
この「結び切り」の水引きは、両端を持って引くとより固く結ばれます。
そうした意味から「二人が固く結ばれる」という意味も込められています。
「あわじ結び」というのは「結び切り」を応用してできた飾り結びです。
結び目が、縁起物であるアワビの形に似ていることから「あわび結び」と呼ばれ、それが転じて「あわじ結び」となったそうです。
見た目の華やかなことから、結婚祝いにふさわしいとされ、よく使われています。
それに対して「蝶結び」と呼ばれる水引きの方は、何度でもほどけて結び直せてしまうところから、結婚祝いにはふさわしくないとされています。
結婚祝いは人生に一度きりで何度も繰り返さない方が良いとの想いから、「蝶結び」の水引きはタブーとされているのです。
ですが、出産や入学祝いなどは何度あっても喜ばしいことですので、そうしたお祝い事に使います。
水引きのついた祝儀袋を使う場合には、どのようなお祝いに使うかということを考慮しながら選ぶようにしましょう。
カジュアルな祝儀袋の書き方で知っておきたい金額の字体
ここでは、カジュアルな祝儀袋に書く金額の書き方について説明していきます。
昔からの風習で、お祝いでは奇数の金額を祝儀袋に包むというのが習わしとなっています。
とくに「4」や「9」は「死」や「苦」を連想させてしまうので、避けるようにしてください。
金額の書き方ですが、正式には旧字体を使って書きます。
略式 | 旧字体 | |
5,000円 | 金5千円 | 金伍仟圓 |
10,000円 | 金一万円 | 金壱萬圓 |
20,000円 | 金二万円 | 金弐萬圓 |
30,000円 | 金三万円 | 金参萬圓 |
50,000円 | 金五万円 | 金伍萬圓 |
100,000円 | 金十万円 | 金拾萬圓 |
なぜ、祝儀袋の金額を旧字体で書くのかというのには、きちんとした理由があります。
ただの漢数字で「一、二、三」と書いてしまうと、あとから書き換えられてもわからない上に、書き足すことも容易です。
そうしたトラブルを未然に防ぐために、あえて今でも旧字体の書き方を正式なものとしているのです。
ですが、近年のカジュアルな祝儀袋の書き方では、略式で書いている人も多いです。
それほど格式が高い場でない限り、金額の書き方は略式でも良いことになっているのが現状です。
それから、昔のマナーでは「金〇〇圓也」のように「也(なり)」をつけていました。
今では「也」をつける書き方は、10万円以上包む場合に使われることが多くなりました。
カジュアルな祝儀袋ですと、10万以上包むケースも少ないと思います。
そのため、10万円未満の金額にはつけないことが通例になっています。
カジュアルな祝儀袋の書き方で連名を書くときは?
カジュアルな祝儀袋でも、お祝いを包むとき、個人で包む場合とそうでない場合があります。
複数でお祝いを包むときにも、書き方にはマナーがあります。
いわゆる連名の書き方ですが、こちらは包む人数や立場の違いなどによって書き方に違いがあります。
また、会社など組織の団体名などを入れる場合にも違いがあります。
まずは、ご夫婦での連名で包む場合の書き方です。
ご夫婦での場合は、夫の名前を中央から向かって、やや右寄りの場所にフルネームで書きます。
そして、その左側に、妻の名だけを夫の名の高さに合わせて書くようにします。
次に、同じ2人の連名ですが、他人同士の場合は少し違います。
この場合には、カジュアルな祝儀袋の中心に向かって右側に地位や年齢が高い人のフルネームを書き、左側にもう一人のフルネームを書きます。
もしこの場合、立場が同じでしたら、順番は五十音順になります。
3人の場合も似ていて、カジュアルな祝儀袋の中心から向かって右側から、3人全員が書いたときにバランスよくなるような位置から書いていきます。
名前を書く順番ですが、他人同士での二名で連名する場合と同じ条件で書いていきます。
連名が4人以上になった場合は、代表者のフルネームを1人だけ中央に書き、代表者の左下の部分に「外一同(ほかいちどう)」と書き添えます。
または、名前のところに「〇〇一同」とだけ書き、別紙で全員の名前を書いたものを中に添える場合もあります。
この別紙での名前の書き順ですが、やはり同じように、立場が違う場合は上の人から、立場が同じなら五十音順に書いていきます。
この場合、相手方に住所がわかっている場合には名前だけでよいですが、そうでない場合には住所も一緒に書き加えます。
個人名の他に会社や団体の肩書を付け加える場合は、名前を書いた右側に、名前より少し小さい文字で書くと良いでしょう。
カジュアルな祝儀袋の書き方で中袋を書くときに気をつけること
カジュアルな祝儀袋についている中袋ですが、こちらの書き方にもマナーがあります。
正式には、外の袋に書いた筆記用具と同じものを使って書きます。
カジュアルな祝儀袋についている中袋のタイプには、記入欄が印刷されているものもあるので、そうしたものは、その欄に記入しましょう。
記入欄のない真っ白な中袋の場合ですが、こちらの書き方は、裏側の左下に住所氏名を書きます。
このときの名前の書き方ですが、外袋の書き方と同じように書きます。
中袋の場合住所も書く必要があるので、バランスよく書けるように注意して書きましょう。
表面の金額の書き方は、旧字体で書くというのが正式なマナーになっています。
中袋の表面に、楷書でていねいに書きましょう。
カジュアルな祝儀袋のタイプには、中袋ではなく、中包み(なかつつみ)タイプのものもあります。
中包みタイプですと、どちらが表か裏なのかがわかりにくいです。
中包みタイプのものは、表側になる方の左下に三角の空きができます。
表か裏かを判別するときに、そのことを覚えておくと間違いがないでしょう。
祝儀袋を渡すときに知っておきたいこと
お祝いを渡すときにも、正しいマナーがあるのを知っていましたか?
祝儀袋を裸で持参するのは、大変失礼なことになってしまうのです。
水引きがくずれてしまったり、祝儀袋が折れたり汚れたりしないように、慶事用(けいじよう)の袱紗(ふくさ)に包んで持っていきます。
ハンカチなどで代用している人もいますが、そちらは正式ではないので、親しい間柄のときだけにしましょう。
袱紗を使ったときの正しい渡し方ですが、次のような手順で渡します。
- まず、左の手のひらに袱紗を置きます。
- 右手で袱紗を開き、祝儀袋を取り出します。
- 袱紗をたたんだら、その上に取り出した祝儀袋をのせます。
- 相手から見て表書きが見えるように、祝儀袋を時計回りに回転させ、相手に差し出します。
これは包むタイプの袱紗での手順ですが、袱紗にはいろいろなタイプのものがあります。
挟むタイプの袱紗ですと、祝儀袋を取り出したあとに開いた部分を戻すだけなので、袱紗をたたむ手間がないのが便利です。
このような袱紗でも、祝儀袋を取り出す手順や相手に差し出すときの手順などは同じ作法になります。
普段はあまり使うことのない袱紗ですが、祝儀袋でカジュアルなものがたくさんあるように、袱紗もオシャレなものがたくさんあります。
中には、子供のお祝いで喜ばれそうなディズニー柄の袱紗などもあります。
結婚祝いなどに合いそうな豪華なデザインも多数あるので、お祝い事に合わせた祝儀袋とのコーディネートなどもオシャレで良いですよね。
まとめ
- カジュアルな祝儀袋も、書き方は基本と同じ
- 水引きのある祝儀袋は、用途を間違えないように
- 祝儀袋に書く金額の書き方を知ろう
- 連名で書くときは、ケースによって違うので注意
- 祝儀袋の中袋に書くときのマナーを知ろう
今回は、カジュアルな祝儀袋の書き方から、祝儀袋全般の基本的な書き方や渡し方などを通して調べてみました。
カジュアルと言えど、気持ちを込めたお祝いに使う祝儀袋です。
基本的な書き方はほとんど変わりません。
正しいマナーを知ることによって、カジュアルな祝儀袋がより使いやすいものになると良いですね。
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